新築工務店 事例 5
       
       成功事例ではありませんが、いろいろなご苦労を紹介して行きます

        
  
どういう会社にしたいのか(社長の仕事)


             東京都杉並区Sプランニング

                 資本金  1,350万円
                 社員数  12名
                 (内訳)  社長・専務・事務2・営業6・監督2
                 年 商  5億7,000万円
                 主力工事 新築(在来・2×4)


       東京都杉並区のSプランニングは創業して14年、バブルの崩壊で一時経
        営危機に陥ったがそれも持ち直し、平成6年以降成長を遂げている。
        この会社の特徴は、社員全員が自分自身の目標をはっきりと持っている
        ことだ。
        自分自身の仕事において何を目標にし、それがいまどこまで達成してい
        るか、自分の目標を達成することによって会社の業績にどういう貢献を
        するか、それがはっきりしている。
        社員は一人一人目標ノートを持っており、毎日それを点検して反省や目
        標のチェックを行っている。

        例えば営業マンM君の平成10年4月のノートを見てみよう。
        M君は24歳、入社してまだ6ヶ月の新人である。営業社員であるが、お
        客様と交渉するときに見積もりの知識は大切なので、自分で見積もりマ
        スターを年度目標にした。ノートは、表紙に「見積マスター」と大きく
        書かれている。1ページ1ページには月の目標が書かれている。

        

          
平成10年度の目標 
          
見積を完全に自分で出来るようになること!

          4月の目標---給排水工事の見積をマスターする

          4/1 大山邸の現場でキッチンの給排水工事を実習
          4/2 積算資料で、部品・器具の単価を調べる
          4/3 キッチン組みたて・設置の手間賃を調べる
          4/5 配管材料の呼称を調べる
          4/7 給水本管からの引込について現地実習
          4/9 混合水栓の種類と価格調べ
          4/10 雨水桝・汚水桝の設置金額

        

       このように、一年間の目標を達成するために毎月の月間目標を立て、毎
        日それを計画・実行・チェックし、確実に目標到達に向けて一歩一歩前
        進している。
        社長は毎日日報として出される目標ノートを見て、適切なアドバイスを
        し、月間目標がクリアーすると朝礼の全社員の前で表彰し、社長から金
        一封がでる。
        
        社員の年間目標はいろいろである。その目標設定について社長は口を挟
        まない。あくまで個人個人に立てさせるのだ。

         
T君/住宅ローン・住宅金融公庫・登記関係のマスター
         K君/お客様の目の前でプランが描けるようにする
         Y君/手配りチラシのデザインを勉強する(デザイン学校に行く)
         Fさん/2級建築士の資格を取る

        このように社員が自分で目標を設定し到達すれば会社から報奨金がでる。
        社長も目標を立て、社員の前で発表する。
        社長は会社の目標をはっきり社員に提示し、その目標を達成するために
        社員が何をすればいいかを考えさせる。月に一回全社会議を行い、売り
        上げ目標の進捗状況や社長自身の目標の報告も行う。

       「一人一人の目標の達成、それによって会社も目標が到達でき、社員み
        んなが給料も上がり幸せになる。」と社長は、毎日それを繰り返し繰り
        返し社員に浸透させる。
        「社長の仕事はただそれだけですよ。」とSプランニングの社長は言う。
        バブル崩壊前は目標もなく、ただ好景気に酔っていて成り行き任せの経
        営だった。
        当時年商は4億円程度あったが、「それはたまたま達成しただけで実力
        じゃなかったんですね。」(社長談)それで天狗になって肝心の社員を
        育てることはしなかったという。
        バブルが崩壊して、同業者も倒産するところが出てきた。その中でバブ
        ル崩壊に関係なく業績を伸ばしている会社もあった。社長はその会社に、
        藁にもすがるつもりで訪問したという。
        そこで見たものは、「社員が自分で立てた目標に向かって邁進する姿」
        だった。

        景気の波をもろにかぶる企業もあれば、景気に関係なく業績を伸ばす会
        社もある。Sプランニングの社長は「目標の設定」がいかに大切かを思
        い知った。
        経営者は、どういう会社にしたいのか、どういう会社になればみんなが
        幸せになれるのかと言う明確な思想を持っていないと、現在の厳しい状
        況を乗り越えていくことは難しいと言うことなのだろう。


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